触れる勇気づけの定義
触れる勇気づけとはどのようなものか。私たちが掲げる「触れる勇気づけ」の定義を図で示すと、以下のようになります。
心への触れ方、体への触れ方、人生への触れ方を融合させたもの(重なり部分)が、触れる勇気づけです。勇気とは、生きるために必要なものです。自分らしく生きる力とも言えます。勇気は他者が与えられるものではありません。
元々、誰もが持っている自分らしく生きる勇気を引き出すきっかけづくりを行うこと。そして、行う側もまた生きる勇気が沸き起こる連鎖が生まれるもの。それが、「触れる勇気づけ」です。
●誰もが本来持っている生きる勇気が何らかの理由(病気、死への恐怖、トラウマ、障害、死別、介護、人との関係など)によって、くじかれてしまった人に対して、触れることを通じて勇気づける行為。
●生きる勇気、自己肯定感、自信を取り戻し、命の美しさを楽しむための伴走者であること。
●生きることへの緊張が高い状態は体への影響(肩こり、不眠、食欲不振、うつ症状、めまい、など様々)が大きいため、不安や恐怖を和らげる手段として、体から緩める、体に触れるアプローチが有効。(ただし、体からのアプローチがすべての人に当てはまるとは考えていない)
●グリーフ(死別や喪失の悲嘆)の概念を広めることで、大切な人を失った現実に傷つく人を減らしたい。
●グリーフは、看取り前からすでにはじまっている。概念を医療や介護にかかわる人に特に広めたい。
●グリーフケアの概念や在り方、哲学などは大切だが心で理解できない人もいる。その前提で、知識だけではなく触れることを通して心にアプローチできるのが勇気づけの技術である。
●触れる勇気づけの技術は、医療者のメンタルサポートや仕事へのモチベーション向上にも有益であることを知ってほしい。
●死が目前で危機的な状況ではなくても、ご高齢者の人生の棚卸や振り返りをお手伝いにも、触れる勇気づけの技術は有効である。言葉だけではなく触れることで安心を感じていただき、相互理解を深め、素直に感情を出せる関係性作りが可能になる。
●ただし、触れ方によっては、よけいに傷つけたり、トラウマやグリーフにつながることも理解し、正しい触れ方の技術を特に医療従事者に広めたい。
●勇気づけをする側(医療従事者や介護家族)も、触れることで自分自身もまた勇気づけられていることを体感してもらいたい。
●重い病気であろうが、意識がなかろうが、すでに肉体がなかろうが、存在の尊厳が守られる社会作りに寄与したい。特に重病や要介護の方は、尊厳が傷つき破られるぎりぎりのところであるからこそ、関わる人たちがそれを守る心と知識と技術を習得することが必要と考える。
●現場の医療従事者や介護家族の尊厳も守られるように、サポートしたい。